[After コロナ] 使われなくなった航空機の行方
Orbital Isnight 長尾 真司
未だ収束の見えないコロナですが、多くの業界に影響を与えています。人の移動が制限されているため、旅行業界への影響は大きく、とりわけ航空会社の収益に与える影響ははかりしれません。日本航空、ANAホールディングス共に、2020年の連結決算を赤字として、2社合わせて2000億円の赤字を計上しました。
航空機が運行していないということは、多くの航空機が地上に待機していることになりますが、これらの航空機がどこで待機しているのか知っている方はあまり多くないかもしれません。世界にはボーンヤード(飛行機の墓場)という場所が複数存在します。目的は一時的な保管の役割やいずれ廃棄され、一部パーツを再利用するなどです。機体を維持保管するために、空気の乾燥している砂漠地帯に多くのボーンヤードが存在しています。
実際に各航空会社はすでに動き出しており、米デルタ航空はアリゾナ州のピナル空港で保管を始め、アジア太平洋地域ではブリスベンに拠点をおくアライアンス航空がアリススプリング空港に機体を保管始めました。(参照:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57148530U0A320C2000000/)
今回はOrbital Insight GOを使い、オーストラリア中部にある、アリススプリング空港の機体数の推移を見ていきます。衛星画像から弊社が開発したコンピュータビジョンアルゴリズムで機体を検知します。
過去データを見ると、平常時は平均30機前後が地上にあるようですが、コロナの影響が出始めた4月、6月時点では約1.5倍の機体が確認されました。
航空機検知のアルゴリズムは複数の種類の機体を検知・識別することが可能です。小型飛行機と大型旅客機の機体数をそれぞれ見てみると、4月・6月時点での増加は大型機によるものと分かります。
Orbital Insight GOはGPSデータの取得も可能です。アリススプリング空港での人の数の推移を合わせて確認しました。2020年3月から規制を次第に厳しくしたオーストラリアですが、結果を見ても3月から人の数が減ったことが分かります。6月前後から少し人は徐々に戻ってきているようにも見えますが、未だ平常時のレベルまで回復はしていないようです。
コロナ以降、アリススプリング空港での機体数は増加傾向であり、一方で人の数は今だ少ない状況です。これらの結果から、報道でもされているように同空港はボーンヤードとして多くの大型旅客機の保管場所になっていることが分かります。
コロナがいち早く収束し、保管されている航空機が再び空を飛ぶ日がやって来るのか。今後もOrbital Insight GOでコロナによって引き起こされた地球上での出来事をテクノロジーを駆使して、明らかにしていきます。
ご質問がありましたら、ぜひ sales.japan@orbitalinsight.com までお問い合わせください。
Orbital Insight について
Orbital Insight は地理空間分析を専門とする企業です。企業や組織のお客様が、地球上で、また地球そのものに何が起きているのかを理解できるよう、ご支援を提供しています。ユニリーバ (Unilever)、エアバス (Air Bus)、RBC キャピタルマーケッツ (RBC Capital Markets)、世界銀行 (The World Bank)、米国防総省 (U.S. Department of Defense) を始めとするお客様が Orbital Insight のセルフサービス分析プラットフォームを利用し、サプライチェーンの脆弱性やビジネス機会から国家安全に至るまで、様々な領域に関する知見を獲得されています。Orbital Insight は米国カリフォルニア州パロアルトに本拠を置き、セコイヤ (Sequoia) 、GV(旧 Google Ventures)、シェブロン (Chevron)、バンジ (Bunge) などの出資を得ています。