ラオス:中国の「一帯一路」プロジェクト、再開の兆し

広がる中国の影響力

中国の「一帯一路構想 (BRI: Belt and Road Initiative)」は、世界 100 カ国と中国を物理的につなぎ、同国との貿易促進を狙う、数兆ドル規模の巨大経済圏構築プロジェクトです。ただ、実行可能性分析の結果が芳しくない上、貧困国が持続不可能な債務を負う懸念もあるため、賛同する向きはなくなっています。

新型コロナウイルスが勃発

そこに来て、新型コロナウイルスの世界的な流行。これは習近平国家主席の大型インフラ開発構想に、いっそう影を落としています。新型コロナウイルスの勃発以降、中国人エンジニアは海外から帰国し、多数のプロジェクトが中断されました。今、十数カ国での建設作業を拙速に再開すれば、ウイルスの蔓延を加速させる懸念があります。

ラオス:ボーテン、首都ビエンチャン間の鉄道建設

中国政府のあまたの BRI プロジェクトの中でも、中国とラオスを結ぶ全長 414 キロのいわゆる「老中鉄路」は、投資家の懸念、国家債務や公衆衛生上の問題に対応しつつ、モニタリングを行って慎重に進める必要があります。

多くのプロジェクトの中でも、中国国境のラオス北部、ボーテン特定経済区 (SEZ) の設立は、ラオス中のダム建設企業や鉄道会社のエンジニア、中国の投資家を引き付けてきました。その壮大な構想は、中国南部とラオス、ミャンマー、タイ、ベトナム、カンボジア、マレーシアおよびシンガポールを結ぶ「アジア横断鉄道」を建設するというものです。

鉄道リンクがボーテン北部と遠方にあること、また地下トンネル工事を伴うため、建設状況のモニタリングは特に困難です。Orbital Insight のリモートセンシングと AI テクノロジーを用いれば、国際的な港湾、インフラストラクチャー、サプライチェーン、商品の流通といった BRI の重要ポイントをグローバルに追跡することができます。

息を吹き返しつつあるプロジェクト

4 月の最終週、Orbital Insight はボーテン SEZ での活動水準が前週比で 65% 増加したことを確認しました。2019 年 10 月の観測時ほど高水準ではないものの、エンジニアや建設作業員がボーテンに戻ってきており、新型コロナウイルス蔓延前のレベル回復を示唆するものです。

地理位置情報データは、ボーテンでの活動が急速に活発化していることを示しており、中国による BRI 設立の取り組み再開が伺える。

Orbital Insight の分析手法

地理空間分析プラットフォームの Orbital Insight GO は、お客様が関心を寄せる世界のいかなる事象も追跡し、お客様が日々の活動状況を理解することに寄与します。たとえば、工場での週末シフトの増加や全国のガソリンスタンドでの業務減速といった重要な変化が起きれば、お客様にアラートで通知します。

ボーテン SEZ の分析では、匿名化した位置情報を特別に使用しました。ユーザーが位置情報の設定を有効にしている数千ものアプリから集約したデータです。Orbital Insight は匿名化した形式でパートナー様や弊社の製品からこのデータを収集し、Orbital Insight GO でデータのクレンジング、正規化、分析を実行。続いて Orbital Insight GO は活動の履歴や実行中の活動を、わずか数分で定量化します。

アプリの使用やレポーティングの方法は常に進化するため、位置情報データは扱いが難しいデータセットと言えます。Orbital Insight のデータサイエンス・チームは、こうしたシグナルをクレンジングし、パートナー様から得たデータを加工した情報ではなく、現場での実際の事象に基づく各種トレンドを独立させるアルゴリズムを開発しています。弊社はまたプライバシーを極めて重視しており、個人情報を受け取ったり、このような情報がお客様に伝わらないよう、確実な措置を講じています。

ヒートマップ(月次)

Orbital Insight、中国とブルネイの合弁事業、恒逸(ホンイー)製油所において、活動が活発なエリアを特定。

お客様は自ら選ぶ関心領域や地域を分析し、透明性が高く、タイムリーな結果を得られます。

企業や組織が心掛けるべきこと

各種企業や組織は、サプライチェーン管理ソフトウェアに毎年、140 億ドルを費やしているものの、競合他社、顧客、サプライヤーの業務の実態に関する知見は得られていないに等しい状態です。新型コロナウィルスの蔓延でグローバルなサプライチェーンが混乱する中、自らの組織のサプライチェーン、サプライヤーやその先のサプライヤーの脆弱性を把握することは不可欠です。

本文では地理空間分析により、中国の「一帯一路構想 (BRI)」に関る建設活動の状態を把握できることをご紹介しました。Orbital Insight は、遠隔地での各種活動のモニタリングなり、サプライチェーンのボトルネックなり、皆様の組織が直面する課題を理解し、ご支援を提供したいと考えています。

ご質問がありましたら、ぜひ sales.japan@orbitalinsight.com までお問い合わせください。

Orbital Insight について

Orbital Insight は地理空間分析を専門とする企業です。企業や組織のお客様が、地球上で、また地球そのものに何が起きているのかを理解できるよう、ご支援を提供しています。ユニリーバ (Unilever)、エアバス (Air Bus)、RBC キャピタルマーケッツ (RBC Capital Markets)、世界銀行 (The World Bank)、米国防総省 (U.S. Department of Defense) を始めとするお客様が Orbital Insight のセルフサービス分析プラットフォームを利用し、サプライチェーンの脆弱性やビジネス機会から国家安全に至るまで、様々な領域に関する知見を獲得されています。Orbital Insight は米国カリフォルニア州パロアルトに本拠を置き、セコイヤ (Sequoia) 、GV(旧 Google Ventures)、シェブロン (Chevron)、バンジ (Bunge) などの出資を得ています。

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地理空間分析サービスを開発・提供する、Orbital Insight(オービタルインサイト)の公式日本ブログです。英語版はこちら→ https://medium.com/@orbital_insight

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