中国・恒逸(ホンイー)社のブルネイ製油所: 複数のデータソースを組み合わせ、より豊かな知見を

今日の効率的な製油所の基準に照らしても、中国の恒逸(ホンイー)石化股份有限公司(Hengyi Petrochemical Co Ltd)のブルネイ王国におけるプロジェクトは驚異的であった。ロイター通信は、1 月 2 日付でプロジェクト始動から半年にして、同社が石油などの天然資源が豊富なブルネイで、1 日 16 万バレルの製油が可能なプラントを、100% 近い稼働率で操業していると報じた。

ブルネイ湾沖のプラウ・ムアラ・ブサール島にあるホンイー(恒逸)のプラントは、アジアに残るわずか 4 か所の、既存設備のない新規立地 (グリーンフィールド) に建てられた製油所のひとつだ。新規立地のプロジェクトは、通常、かつて農業や景観デザインに使用された未開発地に、一から建造するもの。『オックスフォード・ビジネス (Oxford Business)』の記事によると、ブルネイ政府は、ホンイー社が 30:70 で出資、評価額 34 億米ドルの合弁事業を確実に誘致すべく、同島の新規立地 260 ヘクタールを貸し出した。

プロジェクト開始に先立ち、ホンイー社は計画中の製油所では、ガソリン、ディーゼルおよび航空燃料を合計で年間 600 万トン近く生産すると述べている。ブルネイのプラントは、年間 100 万トンの生産能力を持つ芳香族工場の他、ベンゼンを年間 50 万トン生産する施設も備えている。

ロイター通信の報道によると、ガソリン、ディーゼル、液化石油ガスなど製油所で生産した燃料の輸出は、プロジェクト開始以来、順調であり、同製油所からの航空燃料はすでに米国西海岸にも届いているという。

ブルネイ政府はプラウ・ムアラ・ブサール島における既存設備のないグリーンフィールド地区 260 ヘクタールをリースし、ホンイー社出資 30:70、評価額 34 億米ドルの合弁事業を誘致した。

Orbital Insight GO、お客様にブルネイ・ホンイー(恒逸)社の製油所の現地視点かつリアルタイムの事実を提供

ロイター通信社が上述の記事を特報とみなすのはもっともだ。しかし、実のところ Orbital Insight GO のお客様は、ホンイー社の世界的な製油所の建設と保守の様子を、時間軸に沿って随時、知ることができていた。Orbital Insight の目標は単純明快である: いかなる分野であれ、リアルタイムに、現場で生じる「真実」を、セクター・アナリスト、投資家などの専門家に提供することだ。ひいては、これらプロフェッショナルが他の情報も組み合わせ、包括的かつ多元的な視点を得られるよう、支援することである。

弊社の AI を駆使した地理空間追跡ツール Orbital Insight GO は、船舶の追跡も可能だ。プラウ・ムアラ・ブサール島のプロジェクトも着工の瞬間からモニタリングし、同島の製油所への初の原油納品を始め、お客様にリアルタイムで情報を提供していた。なお、後者の事実がメディアで取り上げられたのは、4 か月後のことだ。

現代の資本市場はコンピューターが必須となっており、数百万米ドルの株式、商品取引について、ナノ秒単位の決定をマシンが下す。投資家は、新たな事象が発生した瞬間に、情報を把握する必要があるのだ。ケーブル局や通信社の速報はどこでも得られる情報源だが、Orbital Insight GO の瞬時のデータや即時性は備えていない。

地理空間データはリアルタイム: 偏向性も改ざんもなし

また、通信社は実際に現場を目にした場合を除き、ニュースを配信するには政府関係者、企業リーダー、または一般人など、中間の情報源に頼らざるを得ない。一方、Orbital Insight GO のデータは偏向性がなく、改ざんもあり得ない。それ自体、疑う余地のない画像と現場の真実からなるストーリーを語る。

ホンイー社の製油所では、ガソリン、ディーゼルおよび航空燃料を合計で年間 600 万トン近く生産する。同精製所は、年間 100 万トンの生産能力を持つ芳香族工場の他、ベンゼンを年間 50 万トン生産する施設も備えている。

エネルギー・アナリストは、ホンイー(恒逸)社のブルネイ製油所の分析に、Orbital Insight GO のプラットフォームおよびその広範な地理空間情報ソース(携帯電話、船舶の AIS <船舶自動識別装置>)センサー、光学衛星、レーダー衛星など)を活用し、同地の複合施設における日々の進捗を調査した。

分析作業は、ホンイー社製油所の構造、ローディング・バース(荷役錨地)、原油貯蔵コンテナや島全体を含め、プラウ・ムアラ・ブサール島のあらゆる場所で行われた。その結果、建設から製油所での処理実施にいたる、日々の動向がわかる独自のデータセットが得られた。本事例はホンイー社の工場を網羅するものだが、エネルギー・アナリストや商品取引業者は、Orbital Insight GO を、同じスケーラブルな手法を用いつつ、世界中の製油所、LNG、石油化学工場のトラッキングに活用している。

1 日当たりの標準化された人のトラフィック

ホンイー社の製油所およびプラウ・ムアラ・ブサール島全域を横断する標準化された人のトラフィック(通行量)を追跡することで、同設備における拡充活動の動向が、幅広く見て取れる。本製油所では、2017 年度第 4 四半期に人の通行が増え始め、2018 年中にかけて大幅に拡大した。

人のトラフィックに関するデータでは、2019 年 7 月第 1 週中に、現場スタッフが減少したことを示している。Bloomberg 社は、建設作業が完了し、現場の設備のテストが行われたことを 2019 年 7 月 11 日に報じ、データが確認された。

1 時間あたりの標準化された人のトラフィック(インデックス付き)

製油所の現場における 1 時間あたりの人のトラフィックのデータが把握できれば、お客様はスタッフのシフトのパターンといった情報を得られる。Orbital Insight GO の分析機能を用いれば、1 日ごとに個別に詳細を調べ、労働者が製油所に日々、何時に出勤したか、あるいは時間外のシフトに従事していたかも把握することができる。

異常検知

人のトラフィックのパターンにおける変則的な状況が観測された場合は、ある施設が予定どおりに稼働開始したか否か、また、いったん生産を順調に開始した後、稼働停止したか否か等について、重要な知見が得られる。

1 時間あたりの標準化された通常の週末(金/日)の人のトラフィック

1 時間ごとのデータを掘り下げて調べると、エンドユーザーは変則的な事象が見られた日に関し、より多くの情報を取得できる。ここでは、データは 9 月 23 日と 10 月 7 日の両日に、スタッフが 7:00 am と早朝出勤していることを示している。

夜間における人のトラフィックのみに焦点

製油所の 1 時間ごとのデータを分析したところ、さらに深堀りしたトレンド分析によると、業務関連の人のトラフィックのほとんどが、午前 6 時から午後 11 時の間に生じている。データセットからこれらの時間を除くと、夜間遅くまでシフトが続いている主な日を特定できた。その一例して、2019 年 7 月 3 日が挙げられるが、施設の建設が完了するすぐ前のことだった。

位置情報データ ヒートマップ

ヒートマップを用いると、より短い期間のデータを詳細に調べられ、ホンイー社の製油所周辺のどこにデバイスが集まっているかを観察できる。この情報は、重要だ。というのも、製油所のどの部分に手が加えられているのかという知見を提供するものだからだ。

月次のヒートマップ

月次の集計を見ると、建設期間中、スタッフが現場のどこで働いていたのかがわかる。ブルネイにおけるホンイー(恒逸)社の製油所での活動は、大部分が同施設の中心部に集中していた。しかし、建設完了が近づくにつれ、貯蔵タンクや施設のその他の場所でのデバイス利用は減少した。興味深いのは、2019 年 10 月に、埠頭近くでデバイス使用が急増したことだ。

ズームイン: デバイス使用の急増を精査

2018 年の 9 月から 10 月にかけて、製油所で異例の現象が見られた日を分析した際、デバイス使用は同設備の中心に集中していた。にもかかわらず、製油所の東端でも使用急増が確認された。

国籍分析

国籍にもとづく労働人口の動向

一施設における、デバイスに紐づく国・地域を分析することで、アナリストは海外から流入する人の集団を、モニタリングすることができる。こうしたグループは、特定の業務上の役割や、建設工程の段階に応じた作業に従事する人々である場合もある。

コンピューター・ビジョンで検知された新たな建造物のマッピング

土地利用現況図 (land use map) により、ある敷地全体における個別の建造物の状況を調査することが可能だ。現況図、すなわちマップは中解像度の衛星画像から成り、お客様は、建設された建造物や道路の最新の様子を把握することができる。中解像度の画像を用いたマッピングでは、お客様が特定施設における変化を調査できるよう、実現可能な最高の頻度(週次)を提供している。

2017 年: 施設変化のマッピング

Orbital Insight GO は単一時点を分析するのではなく、土地利用状況の変化を検知するアルゴリズムにより、長期間中に発生する重要な変化を、お客様にアラートで通知する。例として、データが独特な形状として示す、新しい道路や石油タンクの建設が挙げられる。

2017 年には、ホンイー社の製油所の敷地における建設活動の大部分は、敷地内の異なる場所間の移動のため道路、ならびに施設の中心周りの建物の建設が占めた。

2018 年に検知された変化

2018 年には、施設の周辺に、石油貯蔵タンクや、その他の建物が建設されたことが見て取れた。

ブルネイにおけるホンイー社製油所のバース

AIS (船舶自動識別装置) データ

ブルネイにおけるホンイー社製油所のバース(荷役錨地)

5 月初旬には、小規模な第 3 バース(荷役錨地)に船舶が数隻、到着したが、ホンイー(恒逸)社の施設の原油貯蔵量の増加が観察された時期と重なった。

全船舶のトラフィック

全船舶のトラフィック
第 3 バースにおける全船舶のトラフィック
第 1、4、5 バースから製油所を離れたタンカーのトラフィック

第 1、4、5バースを離れるタンカーのトラフィック

第 1、4 と第 5 バース(荷役錨地)は、ホンイー社の施設における、タンカーのトラフィック管理に特化する深喫水の港だ。3 か所のバースへの貨物出荷は、原油輸送の追加に伴い、7 月に始まっている。11 月 3 日には、同社の施設から精製石油製品が初めて、数回にわたり出荷されたことを、検知していた。これは、メディアでは、11 月 6 日まで報道されなかった。

石油データ

ブルネイの浮き屋根式による石油貯蔵量

ブルネイの浮き屋根式石油タンク

Orbital Insight は、ホンイー社の製油所におけるタンカーのトラフィックのモニタリングに加え、衛星画像を用いて同地域に貯蔵された石油の充足率も観察している。Orbital Insight が取得したデータによると、ブルネイの原油貯蔵量は、2019 年 5 月を機に急増している。これは、2019 年 5 月初旬に見られた AIS にもとづく船舶の航行状況、ならびに同製油所が初の原油輸送を受け取ったとの 5 月 7 日付のメディア報道と整合性が取れる。

ホンイー(恒逸)社の石油精製所: フレアの状況

ホンイー社の製油所におけるフレアリング

強力な「フレア」

Orbital Insight のチームは、SWIR(短波赤外)人工衛星を利用し、「フレア」と呼ばれる強力な熱放射を検知している。これは、製油所で不要なガスを償却する際の副産物だ。フレアは高い頻度で観察され、製油所が稼働中か否かについて知見を提供するものである。この例では、Orbital Insight のチームは 10 月 26 日と 12 月 30 日に、ブルネイ・ホンイー社の製油所でフレアを検知している。

総括

ホンイー(恒逸)社の製油所は、東南アジア地域全体の石油精製能力に多大な影響を与えるものだ。特にアナリストは、商品の動向や、この製油所のような施設における未報告の保守作業を把握することに強い関心を抱いている。

Orbital Insight は、多様かつ複数種類の地理空間データを組み合わせて分析を行っており、単一のデータソースを使用するよりも、はるかに有用な知見を得ている。

ご質問は、sales.japan@orbitalinsight.com まで、メールにてお寄せください。

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