全国の小売店人流データから見る、新型コロナの影響と、地域経済の活性化
Orbital Isnight 清水邦夫
新型コロナウイルスは小売や飲食業界に全世界で大きな影響を与えています。
日本では、2月26日にイベントの中止・縮小要求、2月27日に学校の休校要請。そして3月1日には「3密」を避ける勧告があり、外出自粛の動きが強まり、全国の小売業界や飲食店に大きな影響を与えました。
そして4月7日には7都道府県で緊急事態宣言が出され、対象の地域では一気に人出が減少しました。
5月25日には主要の都道府県の緊急事態宣言は解除されたものの、以降も人出は戻らず、飲食・小売業界に大きな影響を与えています。
6月に入り、人出はやや回復してきたものの、7月から8月にかけての感染再拡大でまた外出自粛の動きが強まり、街から人出が減少しました。
この記事では、Obrbital Insight GOの人流データ分析を使って東京の各小売業種ごとの人の出入りを可視化し、それぞれの新型コロナによる影響可視化を試みます。
また、東京都内の日次感染者数とも比べることで、感染者数の増減と人の出入りがどのような関係にあるのかも可視化します。
Orbital Insight GOのエリアライブラリ
Orbital Insight GOでは、すでにマーキングされたエリアのライブラリを用意しており、現時点、全世界では約300万、日本国内でも約3万ものエリア(POI)が揃っています。

それぞれ、業種ごとにカテゴリー化されているので、今回のような特定のエリア分析ではなく、業種や業態ごとのよりマクロな分析の際にはライブラリから対象となるエリアの出力のみで設定は完了します。
例えば、今回は新型コロナウイルスの小売店への影響を見るために下記5つの業種の全エリア(東京都内)を抽出しました。
・デパート・百貨店
・ショッピングモール
・スーパーマーケット
・コンビニエンスストア
・ガソリンスタンド
デパート・百貨店

デパートや百貨店は緊急事態宣言から、休業や時間短縮営業を実施したため、特に大きな人出の減少が見られました。
特にゴールデンウィーク前の5月初旬には、3月1日を基準として約100%近くの人での減少が見られました。
7月上旬に回復したかに見られましたが、8月の第2波時にも大きく減少し、9月末現在も3月時の20%減となっています。
ショッピングモール

ショッピングモール施設なども緊急事態宣言から大きく人出が減少し、5月初旬には3月時から約80%も人出が減少しています。
デパートと同じく、7月には人出が戻ってきましたが、8月の第2波によりまた人出が減少し、9月末現在も3月時から20%弱減少しています。
スーパーストア

スーパーストアは、生活必需品を購入するためか、緊急事態宣言発令時の大きく人出が増加し、ショッピングモールやデパートほど人出は減少していないです。
7月には3月時を上回る人出が戻ってきましたが、第2波による減少も見れます。
コンビニ

コンビニもスーパー同様緊急事態宣言時の少々の増加が見られました。しかし、緊急事態宣言時でも人出は減少しており、8月の感染者増加時も人出は減少しています。
ガソリンスタンド

ガソリンスタンドは直接的に関係がなさそうですが、車で移動する事が減少することによって他の小売事業同様緊急事態宣言時に大きく減少し、その後も同じような人での増減が見られました。
各業種の比較

各業種の3月1日からの人での増減、変化率で比較をしました。
この5業種の中ではやはり、休業や時間短縮営業などの影響が大きくあったデパートや百貨店で最も大きく人での減少が見られました。
次いでショッピングモール、コンビニとガソリンスタンドど同様の変化をたどっています。
この中では、生活必需品などが購入できるスパーストアが一番人出減少が少なく、緊急事態宣言前には逆に増加している傾向も見えました。
また、どの業種も8月の再感染拡大で人出が減っていますが、緊急事態宣言時ほどでもなく、9月末時点では3月時から約20%の人出減少にとどまっています。
10月1日から東京も対象となって始まるGoToトラベルやGoToイートキャンペーンで、この後人出がどの程度増えていくか、ご興味ある方はお気軽に弊社までお問合せください。
Orbital Insight について
Orbital Insight は地理空間分析を専門とする企業です。企業や組織のお客様が、地球上で、また地球そのものに何が起きているのかを理解できるよう、ご支援を提供しています。ユニリーバ (Unilever)、エアバス (Air Bus)、RBC キャピタルマーケッツ (RBC Capital Markets)、世界銀行 (The World Bank)、米国防総省 (U.S. Department of Defense) を始めとするお客様が Orbital Insight のセルフサービス分析プラットフォームを利用し、サプライチェーンの脆弱性やビジネス機会から国家安全に至るまで、様々な領域に関する知見を獲得されています。Orbital Insight は米国カリフォルニア州パロアルトに本拠を置き、セコイヤ (Sequoia) 、GV(旧 Google Ventures)、シェブロン (Chevron)、バンジ (Bunge) などの出資を得ています。