地理空間分析で中国の新型コロナウィルス危機からの脱却に関する準リアルタイムのデータを提供

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執筆: Orbital Insight | 北アジア担当セールスディレクター 兼 日本ゼネラルマネージャー | マイク・キム (Mike Kim)

新型コロナウィルス(COVID-19)の蔓延に直面する現在の困難な時期には、「真実」と「透明性」がかつてなく重要である。臆測や恐怖の念が広がる中、国ごとに水面下で何が起こっているのか、真実を知ることを誰もが渇望している。

2000 年代初頭に SARS (重症急性呼吸器症候群)が勃発した時、私は中国・北京に在住していた。下の写真は、2003 年 4 月 25 日に北京空港で撮影したものだ。当時、未知なるものへの恐怖が引き起こしたパニックの大きさに、驚いたことを思い出す。しかし、当時、北京に暮らす私の知る現実と、外部の人々の認識およびメディアでの報道トーンには大幅な乖離があった。

その数年後、東京に在住する現在、SARS を上回る深刻さを呈する新型コロナウィルスの勃発を目の当たりにするとは知る由もなかった。それゆえ、2 月下旬に発表された政府方針(米国が同様の措置をとる1か月前)に基づき、東京都は人と人の社会的な接触距離を保つ「ソーシャル・ディスタンシング」の要請に動いたが、その内容のいくつかにはなじみがあった。特に、東京で私自身が感じていることと、外部からの認識には、SARS 蔓延の際と同様のギャップを覚える。中国での体験を、今回、東京で再びなぞる中、私はパニックと恐怖に陥りそうになるのを自らに禁じ、それよりも「事実」と「データ」(例:感染者数のみならず、死亡者数に対する回復者数など)を注視することにした。

地理空間分析: 準リアルタイムのデータを提供

この混乱の時期において、客観的な真実とデータの源泉となるもののひとつが地理空間分析である。以下に、弊社 Orbital Insight の CEO、ジェームズ・クロフォード(博士)の言葉を引用する:

Orbital Insight の役割は、この感染症が及ぼす社会的および経済的な影響について、定量的なデータを提供することだ。外出禁止令が実際に人々の行動に変化をもたらしているのか、医療施設が感染症蔓延でどのような影響を受けているのか、サプライチェーンは困難な状況下でいかに持ちこたえているのか…といったあまたの状況を理解することは、かつてなく重要になっている。今後、この危機の展開がいかなるものであれ、弊社は既存ならびに新規のお客様を献身的にご支援することを確約する。これに際し、『地球上で、また地球そのものに何が起こっているのか、理解する』という弊社のミッションを、常に念頭に置いている」

AI(人工知能/コンピュータービジョン)と、人工衛星や地理位置情報をはじめとするデータソースを組み合わせることで、弊社はお客様が関心のある特定の分野、都市や国に関する分析を提供することができる。

地理空間データによると、中国は急速に回復している。例えば、北京における車両数の自動計測も客観的なデータソースのひとつであり、総じて結果を定量化することに役立つ。また、Orbital Insight のセルフサービス分析プラットフォームは、企業や組織のお客様が、従来、隠れていたトレンドを把握し、道路、工場、小売企業や、都市全体における車両数を計測することを可能にする。コンピュータービジョンと機械学習を衛星画像に適用することで、実現できることだ。新型コロナウィルスに関わる様々な切り口に応用すれば、大きな威力を発揮し、様々な事実が明らかになるだろう。

車両数の自動計測 | 北京の回復状況

Orbital Insight のマーケティングディレクター、マイケル・ラピデス (Michael Lapides) が分析したところ、2020 年 1 月 28 日から同 3 月 6 日にかけて、北京四環路(北京の高速道路形態の環状道路)における車両トラフィックは 208.5% の伸びを示している。つまり中国では再び車を運転し、日常の生活に戻る人々が増加傾向にある。以下に画像で例を挙げる。

2020 年 1 月 14 日: コロナ危機勃発前 — 観測された車両数 1,902 台

2020 年2 月 28 日: 最悪の時期 — 観測された車両数 200 台

2020 年 3 月 6 日: 回復期 — 観測された車両数 617 台

[注: 分析 Orbital Insight | 画像提供 エアバス (Airbus) 社]

上述のとおり、2020 年 1 月 28 日から同 3 月 6 日にかけて、自動計測された中国における車両数は、この地域のトラフィックが 208.5% 伸びたことを示している。臆測が飛び交う中、分析により、定量的なデータを提供できるのだ。

データと分析がより多く提供されるほど、パニックと恐怖感は減少

世界中の人々が、募る先行き不透明感に直面しつつも前進を続けている。私が願うのは、私たち全員が「データ」と「事実」にこそ、いっそう注目し、未知なる脅威に対するパニックや恐怖感の拡大を助長しないことである。

また、他より早く新型コロナウィルスが勃発した国々のいくつかで、改善の兆しがみられるのには希望が持てる。ウォールストリート・ジャーナル紙の中国特派員で北京駐在のリンリン・ウェイ (Linging Wei)氏は、同紙のポッドキャストで中国での人々の暮らしが、わずかながら平常を取り戻しつつあると語っている。「着実に息を吹き返している感覚を覚える。外に出れば、以前より人も車も多く、地下鉄もバスも乗客が増えている」。同様に、韓国も迅速な対応とソーシャル・ディスタンシングの実行を経て、正常な状態を回復している国のひとつだ。

世界中の国々が、中国などに続くことを個人的にも願ってやまない。私たち Orbital Insight は、この多難な時に、引き続き政府や各当局、非営利団体ならびに企業のお客様にデータを提供し、私たちにできる最大限のご支援を提供すべく、尽力する所存である。

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