新型コロナによる旅行者動向の変化
新型コロナ収束の見通しが依然立たないなか、政府は 7 月 22 日から「GO To Travel キャンペーン」を打ち出し、打撃を受けている観光業界、および関連する地域経済の活性化を目指しています。この施策には各方面で賛否両論あるものの、多くの人がキャンペーンを活用し、観光都市を訪れていると言われています。
今回は Orbital Insight GO を使用して、約 100 軒のホテル・旅館を訪れた人の合計値を各都道府県ごとに算出。観光客の動向を間接的に分析してみました。
[対象施設]
- 約 100 軒のホテル・旅館(無作為抽出)
[対象エリア]
- 東京都
- 大阪府
- 京都府
- 北海道
[対象期間]
- 2020/3/1–2020/11/22
[東京]
都内のホテル訪問者は、11 月にはほぼ 3 月の水準まで回復しており、10 月以降に多くの観光客の流入があったことが見られます。10 月 1 日より、東京発着の旅行も、GO To Travel キャンペーンの対象になったことが大きな要因と考えられます。
[大阪]
また、大阪においても東京都と似た動向がみられ、すでに 3 月時よりもホテル・旅館利用者が増えています。大阪府は 11 月 20 日に警戒レベルを「イエローステージ 2」に引き上げており、今後の人流の推移が気になるところです。
[京都]
全体的な人の動きは、上の 2 都府と比べて大きな違いは見受けられません。ただ、有数の観光地ということもあり、直近の観光客の流入は著しく、未だ 11 月 25 日時点で府による公式な警戒レベルの引き上げもないため、12 月にかけても旅行客の来訪は予想されます。
[北海道]
最後に北海道では 5、6、7 月はコロナ感染者も比較的少ない状況であり、旅行客が戻ってきています。さらに 10 月からの GO To Travel キャンペーンのクーポン付与や対象の拡大の影響か、大幅な増加が見られます。しかし、10 月に再度、道内の感染者数が増え、11 月 8 日には警戒ステージが 3 に引き上げられたこともあって、観光客の減少が発生しているようです。
当記事執筆時(11 月 25 日)には、コロナ感染者も日に日に増加しており、各地方時自治体においても警戒レベルの引き上げや、東京都を始め飲食店の営業時間の短縮が開始されつつあります。今回の分析では、GO To Travel キャンペーン(特に10 月 1 日からの対象拡大以降)の効果は各地域で見受けられるものの、地域ごとの感染状況や自治体の対応状況には敏感に反応して、各々決断していると考えられます。
現在、第 3 波到来と言われており、今後さらに空気が乾燥することからウイルスの活発化が危惧されています。先週の11 月 21、22、23 日の三連休は、日本医師会からも「我慢の3連休」と呼びかけがありましたが、本データではなおかつ多くの観光客の移動が確認できます。
今後の観光客の動向、および他地域、より細かい地域や施設での分析にご興味のある方はお気軽に弊社までお問合せください。
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オービタルインサイト:長尾真司